ピン芸人とは、1人で活動するお笑い芸人のことを指します。「ピン」という言葉は、ポルトガル語の「pinta(ピンタ)」に由来し、「点」を意味することから、サイコロの「1」を「ピン」と呼ぶようになり、1人で活動する芸人を「ピン芸人」と呼ぶようになったとされています。
女性ピン芸人は、男性ピン芸人と同様に独特な存在感を放ち、相方がいないぶん、その個性が強く表れるのが特徴です。一人コント、あるあるネタ、フリップネタ、モノマネなど、さまざまなジャンルの芸風があり、それぞれが唯一無二のキャラクターを確立しています。
近年では、ヒコロヒーややす子といった女性ピン芸人の活躍が目覚ましく、テレビやラジオのレギュラー番組を持つだけでなく、女優としても活躍する芸人が増えています。2017年からスタートした『女芸人No.1決定戦 THE W』も、女性芸人の地位向上に大きく貢献しています。
女性ピン芸人人気ランキング TOP10
1位:友近
栄えある第1位に輝いたのは、芸歴20年以上のベテラン芸人・友近です。架空のベテラン演歌歌手・水谷千重子などのオリジナルキャラクターやアドリブコントは、芸人の間でも絶賛されています。
友近の最大の魅力は、その多彩なキャラクター造形と演技力です。旅館の女将や仲居さん、学校の先生、街中のお姉ちゃん・おばちゃん・おっちゃんネタ、クラブのママといった水商売の女、極道の妻など、リアリティあふれる架空の人物になりきる「ひとりコント」は、どのキャラクターも造形が深く面白いと評判です。
『エンタの神様』でのキャッチフレーズ「変幻自在のキャラ姉さん」はあまりにも有名で、コントや歌まね等、芸の幅が広くユニークなネタが多いのが特徴です。長い芸歴で培った安定感のある芸や、ネタの多彩さが多くのファンを魅了しており、頭の回転が速く、コントなど他の芸人と即興で合わせることができる器用さも持ち合わせています。
2004年にはABCお笑い新人グランプリの優秀新人賞を受賞し、女性ピン芸人の代表的存在となりました。ドラマにも多数出演しており、NHK連続テレビ小説『芋たこなんきん』や『プロミス・シンデレラ』などに登場し、演技力の高さも証明しています。演歌歌手・水谷千重子を別人格として完全にビジネスにしているところも巧みで、ほかの芸人を巻き込んでコンサートを開催するなど、ビジネス展開も成功しています。
2位:いとうあさこ
2位にランクインしたのは、現在はピンで活動しているいとうあさこです。かつては『ネギねこ調査隊』というコンビを組んでいましたが、2003年に解散してからはピン芸人として活動しています。
『世界の果てまでイッテQ!』や『ヒルナンデス!』など人気バラエティ番組にレギュラー出演しており、楽器を演奏しながら自虐ネタを披露したり、80年代アイドルのものまねをしたりと、多彩な芸を見せてきたタレントです。
伊藤ハム『朝のフレッシュシリーズ』のCMではコミカルなダンスを披露し、話題となりました。バラエティ番組でのトーク力だけでなく、ものまねも得意で、桃井かおりや真矢みきなどのものまねをよく披露しています。体を張った芸風でありながらも、どこか憎めない親しみやすいキャラクターが人気の理由です。
3位:渡辺直美
3位にランクインしたのは、世界的な活動をする芸人として知られる渡辺直美です。歌・ダンスが得意で、ビヨンセのモノマネであっという間にお茶の間の人気者となりました。『爆笑レッドカーペット』や『エンタの神様』などの人気番組に出演してブレイクしました。
現在ではニューヨークを拠点に活動し、モデルやインフルエンサーとしても活躍中です。フォロワー数約990万人のインスタグラムをはじめ、SNSを中心に世界的な人気を得ており、『ニューヨーク・タイムズ』の『ネット上で最も影響力のある25人』にも選出されています。世界に羽ばたく芸人として、日本・海外問わず活躍が楽しみな存在です。
4位:横澤夏子
4位にランクインしたのは、新潟県出身の横澤夏子です。NSC東京校に第15期生として入学し、芸風は主に一人コントです。代表的なものは「音楽の先生」や「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」でも披露されている「ちょっとイラっとくる女」シリーズで、日常でよく見かける些細なことを忠実に再現してみせるモノマネが有名です。
誰もが一度は見たことのある「○○な女」を皮肉交じりに真似て、主に女性客から共感と笑いを得ています。2015年には東京よしもとの若手芸人コンテスト「彩バトル」で女性初優勝を果たし、「R-1ぐらんぷり」では2016年から2年連続で決勝に進出しました。
5位:ゆりやんレトリィバァ
5位にランクインしたのは、吉本興業に所属するお笑い第七世代の代表格・ゆりやんレトリィバァです。大阪NSC35期生としてNSCを首席で卒業した実力派芸人です。
2017年2月、第47回NHK上方漫才コンテストで女性ピン芸人初の優勝者となり、同年末の『女芸人No.1決定戦 THE W』でも優勝、2021年には『R-1グランプリ2021』で優勝しました。英語が堪能で、2019年にはアメリカのオーディション番組『America’s Got Talent』にも出演し、国内外で注目を集めました。関西大学出身のインテリ芸人としても知られ、「ピン芸とはやっぱり人生」と語るほど、芸に対するこだわりと情熱を持つ芸人です。
6位:ヒコロヒー
6位にランクインしたのは、松竹芸能所属のヒコロヒーです。現在テレビとラジオを合わせて合計9本のレギュラーを持っているだけでなく、女優としても活躍しています。
ネタを約200本持ち、一人コントを主な芸風としており、自分のコントを『ヒッコロコント』と称しています。先輩芸人からは「設定選びが他の芸人と一切かぶらない」と評されており、毒気のあるネタ、過激なネタも多いのが特徴です。2021年から齊藤京子との冠番組『キョコロヒー』をスタートさせ、2025年には小説『黙って喋って』で第31回島清恋愛文学賞を受賞しました。
7位:イモトアヤコ
7位にランクインしたのは、吉本興業所属のイモトアヤコです。バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』にレギュラー出演しており、体を張った企画で人気を集めています。女優としてドラマ・映画・舞台でも活躍し、音楽活動も行っています。男女問わず好感度が高い芸人の1人で、多方面での活躍が目覚ましい芸人です。
8位:椿鬼奴
8位にランクインしたのは、自身のハスキーボイスを生かし歌ネタを披露する椿鬼奴です。楽器を演奏しながら歌ネタを披露するスタイルが特徴で、独特の世界観を持つ芸人として知られています。バラエティ番組では毒舌キャラとしても活躍し、個性的なルックスとキャラクターで唯一無二の存在感を放っています。
9位:やす子
9位にランクインしたのは、2024年『24時間テレビ47』でチャリティーマラソンのランナーに抜擢されたやす子です。元自衛官という異色の経歴を持ち、自衛隊時代のエピソードをネタにした一人コントが人気を集めています。体を張った芸と元気なキャラクターで、若い世代を中心に支持されています。
10位:キンタロー。
10位にランクインしたのは、元AKB48の前田敦子のモノマネでブレイクしたキンタロー。です。独自のメイクや顔芸が印象的で、唯一無二の存在感を放っています。モノマネ芸であるため、ハマる人とそうでない人が分かれますが、根強い人気を持っています。
その他の注目女性ピン芸人
平野ノラは肩パッドの入った衣装と肩にかけたショルダーホンが特徴のバブリー芸人として、幅広い世代から支持されています。ミラクルひかるは宇多田ヒカルをはじめとする様々な芸能人のものまねで「ものまね芸人界の天才」と評されています。福田彩乃は芸能人から動物まで幅広くこなすものまね芸人として、鳥居みゆきは独特の世界観でカルト的な人気を誇る芸人として知られています。フワちゃんはもともとYouTuberとして活躍し、現在はバラエティ番組に引っ張りだこの存在です。
女性ピン芸人の芸風と活躍の場
女性ピン芸人の代表的な芸風には、一人コント、モノマネ、歌ネタ、トークとアドリブなどがあります。友近の水谷千重子や横澤夏子の「ちょっとイラっとくる女」、ヒコロヒーの「ヒッコロコント」など、架空のキャラクターになりきったり、あるあるネタを演じたりする一人コントは、芸人の演技力や表現力がダイレクトに伝わる芸風です。
ミラクルひかる、福田彩乃、キンタロー。など、モノマネを武器にする芸人も多く、観察力と再現力で観客の共感や笑いを引き出します。椿鬼奴のように歌ネタを得意とする芸人は、笑いだけでなく音楽的な楽しさも提供しています。
主な活躍の場は、バラエティ番組のレギュラーやお笑い特番への出演です。『世界の果てまでイッテQ!』『ヒルナンデス!』など、多くの番組で女性ピン芸人が活躍しています。劇場でのお笑いライブも重要な活躍の場で、テレビとは違った雰囲気でより深くネタを披露できます。
『R-1ぐらんぷり』『女芸人No.1決定戦 THE W』などの賞レースでの優勝や好成績は、芸人のキャリアに大きな影響を与えます。近年では、イモトアヤコやヒコロヒーのように、女優としてドラマや映画に出演する芸人も増えており、渡辺直美のようにSNSで世界的な影響力を持つ芸人も現れています。
女性ピン芸人の魅力と今後の展望
女性ピン芸人の最大の魅力は、その個性の強さです。相方がいないぶん、自分のキャラクターを全面に押し出すことができ、唯一無二の存在感を放つことができます。友近の多彩なキャラクター、横澤夏子の「ちょっとイラっとくる女」、ゆりやんレトリィバァの英語を使ったネタなど、それぞれが独自のスタイルを確立しています。
女性ピン芸人のネタは、特に女性観客から共感を呼びやすいという特徴があります。日常のあるあるネタや、女性ならではの視点で切り取ったネタは、多くの女性の心を掴みます。また、お笑いだけでなく、女優、歌手、インフルエンサー、作家など、様々な分野にチャレンジし成功を収めている芸人が多数います。
2017年からスタートした『女芸人No.1決定戦 THE W』は、女性芸人の地位向上に大きく貢献しました。以前は「女性芸人は面白くない」というイメージもありましたが、現在では「面白ければ関係ない」という空気が定着しつつあります。医師免許保持者、元自衛官、社会人経験者など、ユニークな背景を持つ女性芸人も続々と登場し、新しい笑いを生み出しています。ゆりやんレトリィバァや渡辺直美のように、海外を拠点に活動する女性ピン芸人も現れ、世界を舞台に活躍する可能性が広がっています。
まとめ
女性ピン芸人ランキングでは、友近が堂々の1位を獲得し、いとうあさこ、渡辺直美と続きました。それぞれが独自の芸風を確立し、一人コント、モノマネ、歌ネタなど多彩な表現で観客を魅了しています。近年では女性ピン芸人の活躍が目覚ましく、テレビやラジオのレギュラー番組を持つだけでなく、女優や作家としても活躍する芸人が増えており、今後もさらなる発展が期待されます。
