平日の昼間、主婦層をターゲットに放送されてきた昼ドラ(昼の帯ドラマ)。1964年に東海テレビが制作を開始して以来、2016年まで52年間にわたって日本のテレビ文化を彩ってきました。
昼ドラといえば、多くの人が「ドロドロとした愛憎劇」を思い浮かべるのではないでしょうか。不倫、嫁姑問題、復讐、裏切り、そして過激な描写の数々。ありえない展開に文句を言いながらも、次の回が気になって仕方がない――それが昼ドラの魅力でした。
2022年3月に株式会社CMサイトが実施した調査では、30〜50代の男女5,332名を対象に「昼メロ!フジテレビ昼ドラ名作ランキング」が発表されました。本記事では、このランキング結果と各種調査をもとに、ドロドロ&過激描写で話題を集めた歴代昼ドラの魅力を徹底解説します。
昼ドラのドロドロ&過激描写人気ランキングTOP10
1位:牡丹と薔薇(2004年)
2004年に放送され、「ボタバラ旋風」を巻き起こした伝説の昼ドラが堂々の1位。小沢真珠さん主演で、数奇な運命に翻弄された姉妹の30年以上におよぶ壮大なストーリーが描かれました。
出生時に取り違えられた双子の姉妹、富沢薔薇(小沢真珠)と斎藤牡丹(小林千晴)。貧しい家庭で育った薔薇は、本来自分が生まれるはずだった裕福な家庭で育つ牡丹への嫉妬と憎しみを募らせていきます。
小沢真珠さんが放つ名台詞「役立たずのブタ!」のインパクトは、歴代昼ドラの中でもとくに強烈でした。バットを振り回すシーン、過激な発言や行動の数々が視聴者の度肝を抜きました。
「これぞ昼ドラ!」と言わんばかりのドロドロとした愛憎劇が繰り広げられ、「ドロドロとネチネチしたストーリーがいい」「小沢真珠さんの狂気を帯びているような演技、どれも衝撃的な展開で目が離せなかった」という声が多数寄せられました。
2位:真珠夫人(2002年)
2002年に放送され、その年の新語・流行語大賞トップ10入りを果たした「真珠夫人」が2位にランクイン。2000年代の昼ドラブームをけん引する作品として、一躍脚光を浴びました。
主演は華やかな大人の色気漂う横山めぐみさん。明治時代の菊池寛の小説を原作とした本作は、女のドロドロとした愛憎劇が繰り広げられました。
名シーン「たわしコロッケ」を覚えている方も多いのではないでしょうか。これは主人公の真珠が嫁ぎ先の姑から嫌がらせを受け、たわしで作ったコロッケを食べさせられるシーンで、昼ドラ史に残る衝撃的なシーンとなりました。
「流行ったし、きざなセリフが多いのが印象的」「ドロドロしてる中に高木美保さんがきれいでよく似合ってた。昼ドラ人気の走りだと思う」という評価を得ています。
3位:冬の輪舞(2005年)
2005年に放送された「冬の輪舞」は、真珠夫人、牡丹と薔薇と並ぶドロドロ愛憎劇の三部作として知られています。
複雑に絡み合う男女の愛憎関係と、予想を裏切る展開の連続で視聴者を魅了しました。放送終了後には「金曜エンタテイメント」でスペシャル版が放送されるなど、社会現象となりました。
4位:赤い糸の女(2012年)
2012年9月3日から11月2日まで放送された「赤い糸の女」は、人間の「負」の要素とも言える欲望と向き合うシリアスな昼ドラです。
ドロドロとした女性の人生模様を描いた愛憎劇で、現代都市と地方都市を舞台に、現代人が抱える心の闇や負の部分に焦点を当てました。本作を通したテーマは「欲望」で、自らの欲望と向き合いながら前進する女性の姿が描かれました。
主演はマナカナの三倉茉奈さんで、本作が連続ドラマの初主演。ヒロインの父親役は石田純一さんが演じ、私生活でも自身の不倫でドロドロした男女の関係を過ごした石田さんにとって、ある意味ハマリ役だと評価する声もありました。
「これぞ昼ドラのドロドロ愛憎劇作品です。女性が好きそうな王道の昼ドラだと思います」「マナカナの三倉マナさんが主演ということで、当時マナカナファンだった私にとっては、衝撃的なドラマでした。こんなに深い演技ができるんだなぁ、すごいなぁと圧倒される妖艶な演技にくぎ付けでした」という評価が寄せられました。
5位:花嫁のれん(2010年・全4シリーズ)
2010年から放送され、全4シリーズ制作された「花嫁のれん」は、嫁姑問題を取り扱った意欲的な昼ドラです。
伝統の老舗旅館を舞台に繰り広げられる、終わりなき嫁姑バトル。温泉に嫁いだ嫁と女将の姑との想像を絶する争いが描かれており、生々しいものの、あまりに過激なため逆にコメディーとも感じられる作品でした。
羽田美智子、野際陽子、矢田亜希子ほか豪華キャストで贈られ、Netflixでも一挙配信されるなど、現在も人気を集めています。
6位:偽りの花園(2006年)
2006年に放送された「偽りの花園」は、複雑な人間関係と裏切り、復讐が絡み合うドロドロ愛憎劇です。
タイトル通り、美しく見える表面の下に隠された醜い真実が次々と明らかになっていく展開で、視聴者を釘付けにしました。
7位:新・風のロンド(2006年)
2006年1月5日から3月3日まで放送された「新・風のロンド」は、昼ドラのすべての要素を取り入れた究極のドロドロ愛憎劇です。
原作は津雲むつみさんのコミック「風の輪舞」で、2人の悲恋の因縁が過去にあることが、のちに明らかになるストーリー。1995年に森口瑤子さんが主演で放送された「風のロンド」のリメイク版という形で、小沢真珠さんの主演で放送されました。
本作から昼ドラはハイビジョン制作に移行し、ドラマ連動データ放送も開始されました。
8位:天国の恋(2013年)
2013年に放送された「天国の恋」は、不倫描写は当たり前、愛憎描写もしっかりしており、見ごたえ抜群の昼ドラです。
官能的な描写も多く、より作品に生々しさを与えています。ドロドロな人間模様を描いた作品として、たまにはこういう作品を見たくなる人にオススメの一作となりました。
9位:緋の十字架(2005年)
2005年10月3日から12月28日まで放送された「緋の十字架」は、身寄りのない盲目の少女を引き取り育てる夫婦とその義理の息子の男女4人の人間関係を描いたドロドロ愛憎劇です。
物語は昭和16年頃から現代近くまで描かれる5部作になっており、長期にわたる愛憎劇が展開されました。
10位:幸せの時間(2012年)
2012年11月5日から12月28日まで放送された「幸せの時間」は、家族が崩壊していくドラマです。
浮気・横領・売春など何でもありの作品で、キャッチコピーは「女は愛を奪い合う。」でした。「はじめのうちは、妻と笑っていましたが、リアル近所で同じことがあってからは、笑えなくなったのを覚えています。ドキッとする人も多いのでは?」という声が寄せられています。
昼ドラドロドロ路線の歴史
ドロドロ路線の始まり
東海テレビがドロドロ路線の作品を放送し始めたのは、1986年からです。
1986年に「愛の嵐」という作品が放送されて以降、愛憎劇がたっぷりのドラマが主体となって放送され、そのインパクトが強くなって「昼ドラといえば愛憎劇」というイメージが定着しました。
欧米の古典小説を翻案した大河ロマンが支持を得て、同枠の代名詞とも言われた「愛欲・愛憎ドロドロ劇」というカテゴリーが認知されました。『愛の嵐』『華の嵐』『夏の嵐』のいわゆる嵐三部作がヒットし、放送枠自体が「グランドロマン」とも呼ばれました。
2000年代の黄金期
1990年代後半からは中島丈博脚本らによるドロドロ愛憎劇が幅広い世代に受け入れられ、2000年代には『真珠夫人』『牡丹と薔薇』『冬の輪舞』といった愛憎劇をテーマにした作品が主婦層を中心に社会現象になるほどの話題に発展しました。
あまりにもインパクトが強いため、「昼ドラといえば愛憎劇」として市民権を得て、2000年代後半までは「昼ドラのよう」といったら大概この愛憎劇的であることを指していました。
路線変更と多様化
2009年以降は愛憎劇以外にも、純愛物・時代劇・ファンタジー物・アクション物などの作品を放送し、愛憎劇偏重の路線から変化を図るようになりました。
2009年4月以後テレビ東京系以外で唯一の民放帯ドラマになるにあたり、「企画はもっと冒険していきたい」という東海テレビ制作局東京制作部の意図から、昼ドラ文化の存在意義を強調する方針となり、ドロドロ愛憎劇以外にも発想の幅を広く取って様々なジャンルのドラマを制作しました。
過激描写の数々
暴力シーン
昼ドラの過激描写で特に印象的だったのが、暴力シーンです。
「牡丹と薔薇」では小沢真珠さんがバットを振り回すシーンがあり、「一番の印象に残っているのは小沢真珠さんがバットを振り回すシーンはかなりインパクトがありました」という声が多数寄せられました。
また、ビンタや髪を掴むシーン、物を投げつけるシーンなど、女性同士の激しい争いが生々しく描かれました。
嫁姑バトル
嫁姑問題は昼ドラの定番テーマでしたが、その描写は過激そのものでした。
「真珠夫人」の「たわしコロッケ」は、姑が嫁に嫌がらせをするシーンとして昼ドラ史に残る衝撃的なシーンとなりました。「花嫁のれん」では、温泉旅館を舞台に想像を絶する争いが描かれ、生々しいものの、あまりに過激なため逆にコメディーとも感じられる作品となりました。
不倫・愛憎描写
昼ドラでは不倫描写は当たり前で、愛憎描写もしっかりと描かれました。
「天国の恋」では官能的な描写も多く、より作品に生々しさを与えています。「赤い糸の女」では人間の欲望と向き合うシリアスな内容で、現代人が抱える心の闇や負の部分に焦点を当てました。
過激な台詞
昼ドラといえば、過激な台詞の数々も有名でした。
「牡丹と薔薇」の「役立たずのブタ!」をはじめ、「真珠夫人」の「きざなセリフ」など、インパクトのある台詞が次々と生まれました。これらの台詞は視聴者の間で話題となり、SNSなどでも拡散されました。
昼ドラを彩った名女優たち
小沢真珠
「牡丹と薔薇」「新・風のロンド」などで悪女役を演じ、昼ドラの女王として君臨しました。
見た目とは裏腹に物凄く過激な発言や行動をする演技で視聴者を魅了。「小沢真珠さんが非常に印象に残っています。見た目とは裏腹に物凄く過激な発言や行動をするので、正直反って興味をそそりよく観ていました」という声が寄せられています。
小沢真珠さん自身は後のインタビューで、「牡丹と薔薇」でのイメージについての本音を語り、この役が転機となったと振り返っています。
横山めぐみ
「真珠夫人」で主演を務め、華やかな大人の色気漂う演技で昼ドラブームをけん引しました。
ドロドロとした愛憎劇の中で、高木美保さんと共に美しく凛とした演技を見せ、視聴者を魅了しました。
三倉茉奈
「赤い糸の女」で連続ドラマ初主演を飾り、マナカナとして知られる双子タレントから演技派女優としての一面を見せました。
「こんなに深い演技ができるんだなぁ、すごいなぁと圧倒される妖艶な演技にくぎ付けでした」という評価を得ています。
羽田美智子・野際陽子
「花嫁のれん」で嫁姑バトルを演じた二人。
羽田美智子さんが嫁役、野際陽子さんが姑役を演じ、想像を絶する争いを生々しく演じました。野際陽子さんの迫力ある演技は、昼ドラファンの記憶に深く刻まれています。
昼ドラとは何か
定義と歴史
昼ドラとは、平日の12時から13時台に放送されていたテレビドラマの総称です。昼帯ドラマや、昼帯、昼の連続ドラマとも呼ばれます。
東海テレビは1964年5月4日から2016年3月31日にかけて、累計作品全214作品・52年・累計話数全13,319話を放送しました。
主婦層をターゲットにしていることから女性目線で描かれた作品が多く、愛憎劇や心温まるヒューマンドラマまで、さまざまな人間関係を描いたストーリーが楽しめることから人気を集めました。
ソープオペラとしての側面
視聴者層から石鹸会社がスポンサーとなることが多いため、アメリカでは「ソープオペラ」と呼ばれます。
日本では、TBSテレビで放送されていた「愛の劇場」には花王が、CBC、MBS交互制作の「ドラマ30」と「ひるドラ」および東海テレビ制作の昼ドラにはP&Gが、フジテレビの「ライオン奥様劇場」にはライオンが提供スポンサーになっていました。
昼ドラの終焉
刺激的な内容も多かった昼ドラは時代の変化もあり、2016年を最後に消滅しました。
2009年3月末にTBS系は「制作費のコストカット」と大改編を理由に、月曜から金曜13時台の2階建てドラマを廃止。2016年3月31日をもって東海テレビ制作の昼ドラも終了したため、日本の地上波から新作の昼ドラは一旦消滅しました。
その後2017年4月からテレビ朝日にて「帯ドラマ劇場」開始により、昼ドラが約1年ぶりに復活しましたが、2020年3月27日をもって廃枠となり、日本の地上波から新作の昼ドラは再度消滅しました。
ドロドロだけじゃない!多様な昼ドラ作品
純愛路線
昼ドラはドロドロ路線だけではありませんでした。2000年代には「ピュア・ラブ」(2002年・2003年)が3シリーズ制作され、「砂時計」(2007年)、「ラブレター」(2008年-2009年)といった純愛路線の作品も人気を集めました。
「砂時計」は芦原妃名子による少女漫画を原作とした作品で、主人公植草杏の成長の物語を描いています。母の死を心に抱えながら成長する杏の姿に、多くの視聴者が涙しました。
家族愛をテーマにした作品
「ぽっかぽか」(1994年)は、深見じゅんによる漫画が原作で、平凡なサラリーマン夫婦と幼い娘の3人家族の豊かな親子の触れ合いや地域とのほのぼのとした交流を描いたホームコメディでした。
見た人の気持ちを文字通り「ぽっかぽか」にするドラマで、全3シリーズが制作されました。
青春ドラマ
「明日の光をつかめ」(2010年・2011年・2013年)は、夏休み期間に放送された昼ドラの人気シリーズです。
全シリーズで共通しているのは、いじめ・児童虐待・少年犯罪がテーマになっており、心に傷を負った少年・少女達が「たんぽぽ農場」で共同生活を送る中で、人生の光を見つけていく物語です。昼ドラ定番のドロドロ愛憎劇やシリアスな場面はなく、夏休みの平日昼間に子供達が安心して見ることができる作品でした。
第1シリーズでは現在大活躍中の女優、広瀬アリスさんが主演を務めています。
温泉旅館シリーズ
「はるちゃん」(1996〜2002年)は、全6シリーズ放送された人気作品です。地方の温泉街を舞台に、中原果南さん演じるはるちゃんを中心とした人間模様が描かれました。
ほのぼのとした展開で、長年にわたって愛された名作ドラマです。「お昼の休憩時間にちょうどよかった。ドロドロしたのもいいけど、さわやかなのもいい!」「ほのぼのして、はるちゃんの人柄が好き」という声が寄せられました。
昼ドラの魅力とは
ありえない展開
昼ドラの最大の魅力は、現実ではありえない展開の連続です。
「ありえないストーリー、セリフの面白さ。あるわけないと思いながらも次の回がとても気になりました」という声が多数寄せられています。ありえない設定に文句を言いながら楽しめる、それが昼ドラの醍醐味でした。
次が気になる中毒性
毎日15分から30分という短い時間で、次回への期待を膨らませる構成が見事でした。
「文句を言いながらも次の回がとても気になりました」「先が気になって目が離せませんでした」という声が示すように、一度ハマると抜け出せない中毒性が昼ドラにはありました。
主婦の共感と非日常
主婦層をターゲットにしていた昼ドラは、嫁姑問題や夫婦間の問題など、主婦が共感できるテーマを扱いながらも、それを極端にデフォルメして描くことで非日常的なエンターテインメントに昇華させていました。
「ドキッとする人も多いのでは?」という声が示すように、自分の身近にもありそうでありえない、そのギリギリのラインが視聴者を惹きつけました。
演技派俳優の競演
昼ドラには硬派な演技派が勢ぞろいして見ごたえがありました。
小沢真珠さん、横山めぐみさん、野際陽子さんなど、実力派女優たちが本気で演じるドロドロ劇は、視聴者を魅了しました。「演技がとにかく上手でした」「目力が特にすごいなと感動した」という評価が多数寄せられています。
昼ドラの現在と未来
サブスクでの人気再燃
過激描写が時代に合わず消滅した昼ドラですが、サブスク(動画配信サービス)で人気が再燃しています。
Netflixでは「花嫁のれん」全4シーズンが一挙配信されるなど、かつての昼ドラに見られたような愛憎劇や濃密な人間ドラマは、動画配信サービスなどで形を変え、新たなコンテンツとして視聴され続けています。
深夜ドラマへの継承
昼ドラの魂は深夜帯ドラマに受け継がれています。
地上波での放送が難しくなった過激な描写やドロドロとした人間関係は、深夜ドラマという新たな場所で花開いています。時間帯が変わることで、より自由な表現が可能になり、昼ドラとは異なる形で愛憎劇が描かれています。
昼ドラ出身の有名人
昼ドラ出演をきっかけに有名になる女優も少なくありませんでした。
「キッズ・ウォー」では井上真央さんが、「牡丹と薔薇」では小沢真珠さんが脚光を浴びました。「明日の光をつかめ」では広瀬アリスさんが主演を務めています。
昼ドラは若手俳優の登竜門としても機能し、多くのスターを輩出してきました。
まとめ
昼ドラのドロドロ&過激描写人気ランキングは、1位:牡丹と薔薇、2位:真珠夫人、3位:冬の輪舞という結果に。1986年の「愛の嵐」以降、愛憎劇が主体となり「昼ドラといえばドロドロ」のイメージが定着。2000年代には社会現象となるほどの人気を博しましたが、時代の変化により2016年に地上波から消滅。現在はサブスクで人気再燃し、その魂は深夜ドラマに受け継がれています。
